マイ・シャドウ

私は、いま、自分の土星と向き合っています。

彼とは、関わりが生じて1年と少しになります。フレンドリーで飄々とした印象、ひと廻り以上も年下なのに目上の立場ということもあってか、マイペースでクールながら気さくでユニークな感じに、はじめは全く警戒心など起こりませんでした。占い者らしく彼の太陽と私の太陽が「トリン」であることを確認し、「まあ、基本、相性はいいよね」と、占い者らしからぬ大雑把な判断をし、深くその人格や人間性を知ろうとはしませんでした。必要以上に個人的な興味はなく、特に親しくなることも対立することもなく、彼の言動にある心情や主義を推し量る考えを持ちませんでした。

彼との関係においては、私の占い者という仕事は無関係の事実であったのですが、偶々、彼のホロスコープを書くことになりました。その時すら、彼の性格や思想・彼自身が、自分の試練になるとも思いませんでした。彼の太陽の位置が、私の土星と見事に「コンジャクション」であることを見逃していました。

昨年の秋から年末にかけて、彼のふとした言動に強い違和感を抱いたのがその発端で、それ以降私は彼に対して心理的に引っかかるようになり、批判的な目を向けてしまいました。そこでこの亀裂を修復しようとして、太陽が1室に位置する私はその力を以って、彼に真っ向から自分の主張をしました。ですが、太陽のパワーをコントロールし得なかったために、その主張は尊大で強引なものでした。自信に満ち堂々とした仮面を被って(ペルソナ)、彼の理解が得られるはずと思い込んだ私は、想定しなかった彼の反応に自らを省みず自分の狭量や身勝手に気づくことなく、自分の主張が通らない状況を嘆きました。そして、苦手意識は暴走し、彼の言動ひとつひとつを否定し対立的思いを抱くばかりか、彼の美点だと考えていたそのフレンドリーシップさえを世間を軽んじている、などと曲解するようになってしまいました。


土星、それは、制限や束縛、抑制を司る星であり、忍耐力と持久力を表し最終的には勤勉な努力の報酬として自分を創るための力を与えてくれる惑星です。また、土星は、目的の完全な終了に関係し老成と晩熟を尊ぶので、ものごとの進歩と完成を遅らせる意味を持ちます。土星は、暗く重たく陰鬱な星・・少し前の占星術では凶星(マレフィック)と捉えられていました。土星は凶座相を作る惑星の欠点を強調し、関係する全ての事柄に重い責任と、忍耐と努力を要する厳しい障害をおきます。しかし、かかる問題から逃げず焦らずじっくりと対処することは自己修練となり、人生の困難と闘う賢明な思慮と、宿命の力に対する敬虔な信仰心を与えてくれます。

そして、ホロスコープの土星の位置は、私たちの中で発育を妨げられてきた性質や生き方、また苦手意識を持ち、無力になったり神経過敏になる部分を示します。そして自分の心を注意深く観察すると、苦手の反動として過剰に強くあろうとしたり、妙に頑なになってしまう面も土星が象徴します。

ひとは誰でも自分の影を背負って歩いています。本来ならば、あまり見たくない、無意識の中の影の部分;シャドウ。他人を非難するとき、それは実は、自分の問題に人格を持たせて遠ざけようとするものであったりします・・
・・・彼は個性的で自由を求め独自性に重きを置く人、それを押し付けては来ないけれど、故に人間関係に無頓着、社会の流儀に疎いところがあって、社会の規律・制約に縛られない。平凡で没個性の相手には距離をとる傾向があるようでした。
その土星のサインとハウスから、偏見の目を向けられることを強く恐れる気持ちを持つ私にとって、独自性を貫く彼は、社会通念を軽々と超えてみせるような彼は、(私のコンプレックスを刺激する)苦手な人、となり得ました。彼の言動は私を軽んじているように感じて、私は彼によってではなく、自分の内なる恐怖心から、自分に欠けている部分を体現する彼を見て葛藤したのです。私は、彼のようでありたいとの理想を持つ部分があるのに、実際は自分がそうなり得ないことに苛立ちました。健全なシャドウであるならば彼に憧れ彼を魅力的だと思うことができるのに。

人と関わるときに、その短所をあげつらっていては、客観的で正しい判断ができなくなります。短所は長所と表裏一体のものでもあるはず。彼の美点を数えることができればそれがいちばんいいのですが、そう、それは彼との人間関係改善のみならず、私がコンプレックスを克服し、私自身の成長となる。でも、私の屈託は根深いものでもあったので、まず私が目指したのは、彼の長所、短所と分けることなく、彼をそのまま受け入れることでした。その作業は、ただ彼を見て彼はそうなのだな、と認めること。こうあるべきだとか、こうしなさいよ、と思うのではなく、ただ彼はそうなのだなと。それはきっと、彼の長所を発見しそしてその先に私の糧となるでしょう。

土星を持っているほうが、努力しなければなりません。土星が示すのは試練なのですから。
だから、土星を持っている私の、チャンスなのです。
土星がもたらしてくれる克服する力を手にするために、
私は、いま、自分の土星と向き合っています。

李々佳・・縷々綿々

占い師:李々佳のあれこれ雑記・・・ どこへいくかわからない散漫な話ですが、目に留めていただけたら嬉しいです。 「リーディングケース」では今までの実占例をご覧になれます。

0コメント

  • 1000 / 1000