山の時間

山梨にある菩提寺で、岳父の17回忌を施行しました。
施主は夫ですが名ばかりで、お義母さんがすっかり手配をしてくれました。

この日、ある山の登山口にもなるこの地は、用意した長袖の上着では汗ばむ初夏の陽気でした。
山の緑みずみずしく、お寺の庭に拡がる色とりどりの芝桜、眼下に流れる川、
山の麓を東西に走る線路と高速道路。この景色は絵葉書のようです。

歓迎雛とお堂の木の香りに迎えられ座敷にあがり、設えられた祭壇に手を合わせていると、
ご住職が柔らかな笑みで現れて、暖かな光溢れるなか、静かでいて力強い読経が始まりました。

お義父さんのお葬式には、とてもとても頑張って神妙にしていた4歳児と2歳児も、
お義父さんの面影をその横顔に映して、外見立派な青年になり、
小1時間の正座も顔色変えずにこなしました。

この景色は、お義父さんがここに過ごしていらした頃そのままに、
エビネが、花桃が、小さな蛙が、春真っ盛りを告げていました。

ここに来ると、いつも、「山の時間はゆっくり流れる」んじゃないかと思います。
山あいに暮らせば、元々が我侭でもありなおかつ日々の忙しさに心荒れがちな私でも、
お義父さんのように優しくなれるのでしょうか。

彼らはその日の午後、家の裏の枯れてしまっていた木を切り倒し雑草を毟って、
庭を掃除するのに、汗を流してくれました。倒木を焚いた煙はお義父さんの下へ届いたのでしょうか。

李々佳・・縷々綿々

占い師:李々佳のあれこれ雑記・・・ どこへいくかわからない散漫な話ですが、目に留めていただけたら嬉しいです。 「リーディングケース」では今までの実占例をご覧になれます。

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