葛藤2
タロットカードについて学び始めたのは、23年前。未だ、尽きない興味があります。
ずっと以前、お客さまに「李々佳さんはタロットが大好きなんですね」と見破られたことがあり、ハッとしてしまいました。その方は、好意的な文脈の中でそういってくださったので、私を理解してくれたこと、勿論とても嬉しく感じました。でも、そのとき「私はタロットカードリーディングが大好きであること」を公言することは、細心の注意を要することだと知りました。
またある時には、彼を好きな女性の存在についてお話をさせていただいていたとき、カードの流れを追っているうちに、お客さまは苦笑いで「李々佳さん、そのお話、私楽しくないんですけど」と仰いました。猛省し謝りました。私のアセンダント(生まれた時に東の地平線上にあった星座)は牡牛座で、職人気質的性質の顕れでしたか・・・
私が、占いについて抱いている想いを、こういう風に占いを利用してほしいな と思うことを、お客さまに求めるのは違うのだと思いました。少なくともプロとして活動している以上は。
はい、私はタロットカードリーディングが大好きです。訪ねてくださるお客さまは、私に占的を与えてくれます。
占いは、「物事を客観視したいときのツール」だと考えてはいます。また、順調な時ほど、占ってみるべきでもあります。そして何より、事態を客観的に捉えることこそ、未来を変える力の源になります。
『いい運勢』『悪い運勢』と言いますが、私もお話の中で言葉として使うのですが、カード1枚1枚に吉凶は実はないのだと思います。『幸か不幸か』・・・(以前、このタイトルで記事を書きましたが)それは、いつの視点から眺めるのかで異なってもくるのですから。
ならば、カードのメッセージは、いま現在の私に、あなたに、必要なものであるはずなのです。
ところで、勿論お客さまは、私にゲームのように占的を与えたいわけではなく、悩みや苦しみを持って私を訪ねてくださるのです。カードの啓示を読むことに夢中になることは、全くの私の身勝手です。いくら、必死になって積み上げてきた時間からの自信があるとしても。
いつだったか、占師業界では力のある方が、「私は顧客を『卒業させる』という表現は好まない」と私に言われました。ひとの人生を動かすほどの力を持つと考えるのはおこがましい、というような意味合いだと思います。その言葉に感じ入るものもあって、謙虚さも忘れてはならないこの仕事の大切な要素だと思っています。私の言葉に言い換えるなら、「受容性と想像力こそタロティストのスキルの大切なものの一つ」ということなんですけれど。
カードのメッセージがご相談者に上手に届けられるのなら、その問題をご相談者自らが解決するヒントになり得ると、信じて研鑽し、これからもリーディングを大好きでいたい。
いろいろな想いが私の内部で交錯するなかで、いまこの現在、占的を与えてくれるお客さまに感謝し謙虚さを以て言えるようになりました。
私はタロットカードリーディングが大好きです。
そして、いい意味で、リーディング職人と呼ばれたいです。
ひとりひとりにぴったり合わせた、ストーリーを伝える職人と。
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