初夏のある日
自転車で誰か来る。なにか水を掃くような物音。
トーンの高い、少年たちの声がゆきかう。指示を出す、それに答える。
建物と道路の間が狭いので、仕事部屋にはおもての様子がよく届く。
道路脇の側溝には、ところどころ蓋がなく、暑くなればザリガニ採りの子どもで賑わう。
でも夏休みにはまだ早い。
掃出し窓を開けて覗けば、少年たちが側溝の縁で、真剣になにかしている。
活気あるムードだ。
なにしてるの?
ボールが落ちちゃったんだ
なるほど、蓋がされた部分にボールがはまってしまったらしい。
数メートル先の蓋のないところまで、棒きれや箒の先で水を押し出し、取ろうと考えたんだね。
ウチの塀脇に、まるで低い樹木のように育ってしまった雑草があったのだけど、
彼らは作業に邪魔なそれを抜いてくれていた。
すごい、どうやって抜いたの?
え、えいって。簡単に抜けたよ
私はまだ育ちきらないうちから何度も挑戦しては諦めて、
鋸で根元から切るしかないかと考えていた。
さすが、男の子。
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