ふたりで会っている時間にも、彼がまるで上の空のように見えるために（「恋人R」）、彼女は今まで彼を想ってきたことがまるで報われないと、自分ばかり彼に尽くしていることを嘆いている状態です（「吊るし人R」）.。

ですが、その心は、そのベースに彼が自分の『理想的男性』であること、それを信じています。彼の持つ「星」は『理想的女性』なのですから、ふたりはすれ違いを起こしているけれども、実は『憧れ』という共通項で相思相愛なのです。

ここで注目すべきは、彼女の顕在意識に示された「悪魔」です。『苦痛と快楽』が第一義であるこのカード、なかなか読み方が難しいものでもあります。

この場合、平たく言ってしまえば『彼女の嫉妬心』となりますが、彼女は深層心理に『彼への情熱』を持っていて、彼にはまるで別のひとがいるかのような態度を見せられているのですから、この「悪魔」は、彼女が自分自身を縛り（「悪魔」の重要なモチーフは『鎖』です）、とても悩み苦しんでいる心情を顕す、痛々しいものです。

そして、彼女を取り巻く周囲の要素に「女帝R」；彼女を不安にさせる女性の存在が確かに出ているのです。でも、「女帝R」が彼側に示されたものではないので、彼と関わる女性がいる　ということではなく、彼女を脅かす女性がいるということであり、拠って彼の女性関係ではない、とします。

それは、例えば、彼女に愛あるが故かもしれませんが同時に少しの嫉妬も以て‟彼には女性の取り巻きがいるじゃない”と囁く女性かもしれません。単に仕事関係であっても、年上の女性が彼の周辺にいる、ということかもしれません。

いずれにしても、彼とその女性にはなにも男女関係はないのだけれども、「吊るし人Ｒ」の状態で「悪魔」の顕在意識を持つ彼女に、「女帝R」が悪影響を及ぼしているのです。

逆に、「女帝R」があるからこそ、彼女の顕在意識が「悪魔」で顕されるものになった、ともいえます。

ここまでが現状を示すカードであり、そこを考えると、彼女は彼の女性関係について心配しない方がきっと救われ、彼との関係性も更に良くなっていくはずです。

展開には、これら現状のカードが導くところの未来の流れも示されています。つまり、この現状を立脚点とした場合（＝このまま時の流れに任せるならば）の未来の流れです。

「法皇逆」；お節介な注進など周囲の雑音に振り回される事態が予想され、彼女の心は傷つき彼との感情の距離を感じてしまいそうです。また、「法皇逆」は、彼の仕事上のトラブルを暗示しているようでもあり、彼女とはやはりゆっくりデートの時間が取れないイメージもあります。であれば、やはり彼女は「タワーR」で示されるところの、『彼への誤解』という状態に陥ってしまいそうです。

ところが、この時彼の状態は「力」となっています。彼は、ご自身のビジネストラブルにも腰を据えて対処することができるでしょうし、傷ついて彼との距離を感じている彼女を把握したとしても、関係性がよりよくなることを信じ忍耐できる状態であることを示します。

「力」とは、古代ローマの美徳とされた『勇気と忍耐』のカード。そして‟外柔内剛”ともいえるカードです。『精神力の強さ』を示し、このカードが選ばれるとき、時間はかかっても大抵のことはうまくいく暗示となります。

そして、最終ポジションに選ばれたのは、「運命の輪」です。つまり、ポジション1の「吊るし人R」が「運命の輪」に変わる。占日時における彼女は、まるで彼への恋心を放棄したい状態ですらあったけれど、その状態は一転、彼との縁を強く感じる状態へと変わります。

「運命の輪」；大アルカナ22枚のうち、「月」と共に2枚だけ、人物像のないカードです。つまり、人為的なものが存在しません。ですから、直近の未来⇒近未来に、彼女の状態があまり良く顕されてはいないのに、事態は一変します。前もって決まっていたかのような、彼と結ばれる運命を実感できるときが来るという未来がここに選ばれています。

そこには、やはり彼女が心配する彼の女性関係は杞憂であり、彼も彼女とゆっくり時間が持てないことを嘆き、それでもそれを打開するべく努力するからこそ、最終カードが「運命の輪」となっています。

ここで、最終ポジションのサブカード；「フール逆」に触れますと、これは、ふたりにステキなラッキーが次々と起こる事態に彼が考えていたはずの将来のことが一時置いていかれてしまうことか、彼のビジネスがまだ安定しないことを示している警告だと思われます。

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