浮草のなかを

彼岸花を撮影しようと用水路沿いを歩きました。夏の強すぎる光が満ちていたのはついこの間のように思うのに、この日、頬に当たる空気がひんやりしています。


いつもは車で通り過ぎるばかりで、こんな風に拡がる景色に気づかずにいました。一面に水を覆うアオウキクサの鮮やかな緑、こんな緑を初めて見た気がしてはっとします。


アオウキクサ? まるで物静かな森が、水の上に生まれたようです。浮草はやわらかな風に、こう・・塊りで揺れて光を受けてちらちらと瞬きます。その、揺れる緑をかき分けて二羽の鴨が並行して泳いでいきました。鴨の動きは水面に細い線を残し、なんだか音楽が聴こえてきそうです。水の上に描かれた楽譜を鴨が奏でているような。こんなにも浮草が茂るのは、用水の流れが緩やかだからなのでしょうね。水の流れと一面の浮草と鴨の姿、鴨がゆるり泳いでゆくさまは秋の旋律のようで、とても美しい時間でした。


夏の熱を手放した風が通り抜け、 季節がゆっくりと変化してゆく、夏と秋のあいだには、時間の歩幅までゆっくりになるのかも。 ふと、用水沿いの道路を走り去る車の音が響いて、音楽のような景色の中に曖昧に佇んでいた自分をふと取り戻します。


この浮草もやがて・・いえもうすぐ種子になって越冬の準備にはいるのでしょう。秋の貴重なひとときなのかも。


No War Please

李々佳・・縷々綿々

占い師:李々佳のあれこれ雑記・・・ どこへいくかわからない散漫な話ですが、目に留めていただけたら嬉しいです。 「リーディングケース」では今までの実占例をご覧になれます。

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