散歩
母を、ホーム近くの公園に散歩に連れ出した。
ウチのおにーさんが、ちょうど時間があると言ってくれたので。
きんもくせいの香り漂うこの季節、紅葉もほんのちょっぴりある、木々の中を、
小さな子供をつれた家族や、お年寄りがベンチに座ってにぎやかに話していたり、
学生は部活動なのか、揃いのユニフォームでダッシュし、
ランニングやウォーキングの人たち・・・・
この頃、母は元気がない。おとなしすぎる。
倒れてから、おしゃべりで明るかった性格は、静かなものに変わったが、
にしても、ちょっと心配だ・・・・
私は、プライベートでは一喜一憂してしまうタイプで、
母にちょっとでもネガティヴな発言をされると落ち込んでしまう。
ホームが決まる前までは、家族や姉や弟、周囲にその不機嫌をぶつけてしまうことも多くあった。
私がしっかりしなければ。
・・・と思うあまり、一人孤立していた。
母は、今日も長男の名前を間違えて呼んだが、おとなしかったけれどずっとニコニコしていてくれた。
散歩途中烏を見て「鳩」と言ったり、ちらほら紅葉だねえと言えば「綺麗ねえ」と答えてくれた。
長男は、ゆっくりと母の車椅子を押しながら、ずっと穏やかな顔を母に見せていた。
大丈夫だね、おかあさん。私は一人でお母さんを背負っているなんて、思い上がりだったよ。
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