編み込みセーター
若い頃、棒針編みが好きでした。
毛糸を変えながらひたすら表編みと裏編みを繰り返して長くなっていく、
その単純作業に没頭できる時間が愛おしくて、好きでした。
特にセーターに表情の出る、編み込みや模様編みが好きで、
毎年結構な大作を作ったものです。
紺色の極太の毛糸に大きく白い雪の結晶を入れたプルオーバーは、
スキーに出かける前日にひと晩で編み上げましたっけ。
晩秋には無性に毛糸がほしくなり、毛糸屋さんで何時間も過ごしたり。
学生時代のボーイフレンドには毎年手編みのセーターをプレゼントしていました。
(ひと針ひと針に愛ならぬ怨念がこもってそうで重かったかな・笑)
その時、彼は喜んでくれていましたけど、
別れるとき、私はあの時間;毛糸と遊んだ時間を返してほしくて、
「セーター、返して」「持ってても困るでしょ」と喉まで出かかったのですが、
まあ、それも彼次第かと、言うのを思いとどまりましたっけ。
あのセーターたちはとっくに捨てられてしまったかな。
私のものもずいぶんあったのですが、結婚したころにはもう幼いデザインで、
隣の家の女の子にもらってもらいました。
そもそも、もう今では流行りもあるし、インナーも暖かいものがあるし、温暖化もあるし・・・
手編みの分厚いセーターなんて、もう過去のものなのでしょうね。
骨折で放っておいた衣替えで、1枚だけ残しておいた、愛着のあるセーターを見つけました。
これは本当は、もう別れの予感をもちながら、それでも最後の冬にと思って編み始めたものでした。
別れが訪れて、編みかけのまま放り出すことになったのですが、
次の冬、急にこみ上げるものがあって編み上げました。
(その頃、今の夫とは知り合っていたのであなたの為に編んだ、と嘘をついてあげたのでしたが)
(当然ながら体型に合わずに、「キツイなー」なんて言われて、後ろめたく思いました)
やはりそれは未練だったのか、あまり手を通さないまま、今でも解けずにいます。
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