自転車に乗るとね…
対面鑑定の約束があったので、
その前までに帰ると言うから、
クルマを貸したのに…
ボルダリングに出かけたおにーちゃんは、どこで油を売ってるんだか。
仕方ない、大荷物なんだけど、彼のチャリを借りて行こう。
私は昔、チャリでひったくりにあったことがある。
その日は職場の飲み会で、いい気分になった私は、鼻歌交じりに、でも、バッグはしっかり肩にかけて片手で押さえていた。
そんなに遅い時間でもなく、
あ、明日のお弁当のおかず買って行こうと、スーパーに寄り、有料のレジ袋をケチったので、バッグに食材がパンパンになってしまい、
重かったので、つい籠に入れた。
酔っぱらったアタマには、防犯の意識が薄れてしまった。
商店街を抜けて住宅地に入った途端、爆音とともに何か近づく気配。一瞬後に私は自転車と割れた卵パックとともに、路上に放り出された、
きゃー なんて言うヒマはなかった。
放心をなんとか立て直し、弱々しく 待ってー、と呟く私の目には、金色のドラゴンかなんかの派手な刺繍が施された黒いブルゾンのバイクの男の後ろ姿が。
おかげさまで、怪我はなかったんですけどね。
走り去るバイクに お金あげるからバッグ返して…と訴えた。
すごーく気にいってたお財布と、買ったばかりの赤い皮のロンググローブの惜しいこと、惜しいこと…
翌朝から暫くバイクの爆音が聞こえると、つい、
お前か⁉お前なのか⁉
と、見知らぬ人に疑いをかけるのでした…
後日談。一年後くらいに、犯人が捕まったと警察から連絡あったそうだ。
そうだ というのは、子どもが電話を取ったので。
だから、私の赤いグローブのことも、凝った財布のことも聞けなかった。
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