割れた鏡
*鏡が割れると不幸が続くという迷信があります
それ自体は子どもじみた、芝居がかった嫌がらせだった。
動じないでいたつもりが、実は心身に堪えてもいたのだろう。
全てが終わったとき、彼女は身動きが取れないほどの疲労に気付く。
彼女の真実には耳をかしてももらえなかった。
語られるロジックは破綻していたが、それが押し付けられ、彼女ははじき出された。
その小さな世界から彼女がはじき出されたのは、彼女にも問題があったからだ。
その世界に身を置こうとするとき、彼女は自分の夢だけを握りしめ、周りをみる余裕がなかった。
夢を実現させるために淡々といることが、どう映っていたのか考えが及ばずにいた。
夢を実現させるために周囲との折り合いを蔑ろにしていたともいえるかもしれない。
それは独善だ。
鏡は割れたけれど、それは災いではなくこれから道が開ける標。
彼女はもう一度夢を取り戻すために、いまは翼をたたんでいようと思った。
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