ピンクのマカロンとカイガラムシ
目下の夢中のクロスステッチ、今取り組んでいる作品は「さくらとお菓子のコラージュ」です。 針はちょうど、チョコレートとストロベリーのマカロンに差し掛かりました。 これまで、髪や肌の色、ベージュ系に黒やグレーといった落ち着いた色糸を使って、ちくちく進めてきたのですが、ここへきて一気に明るい色。 ピンクやパープル、そしてオレンジや明るいブラウンの、いかにも「お菓子」な色合いを刺していると、なんだかわくわくしてきます。きれいな色は、それだけで心を持ち上げてくれますね。
・・・なんですけどもね。そのピンクのマカロンが出来上がってゆくのを実体験しつつ、ふと思い出してしまいます。 ピンクのマカロンの色って、カイガラムシから抽出される、って聞いたことがあったっけ。 カイガラムシが持つ「コチニール色素」。 調べてみると、エンジムシ(カイガラムシの一種)から取れる天然の赤色染料で、昔から食品や化粧品に使われてきたそうです。現在でも、安全性が確認された天然着色料として利用されているとのこと。 そういえば最近も、ヘアサロンでその話が出ました。 そのヘアスタイリストさんは、私が密かに「園芸の先輩」と思っている方でして、話題はガーデニングからカイガラムシ色素の話へと飛んでいったのでした。
虫は嫌いではありません。(あ~Gは別ね) 庭いじりをしていて、テントウムシやダンゴムシを見つけても、「気持ち悪い!」ということはありません。きれいな翅を持つ虫や、ホバリングする蛾などは、むしろ興味深い存在です。 昔、息子たちが少年だった頃、カブトムシを何世代かにわたって飼育していたこともありました。 幼虫のために土を替え、餌を気にかけ、環境を整えているうちに、芋虫の姿もそれほど嫌悪するものではなくなっていきましたっけ。
が、しかし。 「食べる」となると、話は別なのかも。 少し前、「昆虫食」が話題になっていたように思います。 世界には、それが日常である地域もたくさんあるでしょうし、文化として尊重されるべきものだと思います。反対する気持ちは全くありません。 私にはムリというだけで。
ずっと以前、会社勤めをしていた、時はバブル、接待の席の末席に座っていたことがありました。 そのとき出てきたのが、ハチの子。え~やだ、と思ったのですが、見渡せば 若い女子(その頃は私もそうだったの~)を揶揄いの目で見るおじさんたち、ああ、今ならパワハラですよね~。虫の肢が喉を通るイメージが浮かんでしまって、なんともイヤでしたが、彼らへのレジスタンスの気持ちでえいっと飲み込みました。
今に戻って数年前、カイガラムシは我が家の野薔薇にびっしり付いたことがありました。蕾がなかなか開かず、開かないのは別の要因があるようですが、彼ら(あ、コチニール色素を持つのは雌らしい)も放置できません。(ヒトの身勝手とは思いつつ) (動かないし、どうも愛せないし) 薔薇の生育の阻害を許すわけにはいかないと、歯ブラシでこすって剥がしました。 ああ、そういえば。 あのとき、赤っぽい汁のようなものが出ていましたっけ。
……話が長くなりましたが、 あれが、コチニール色素、なのでしょう。人体への影響がないからこそ、長く着色料として使われてきたのでしょうし、美しい発色です。ええ、理屈では理解できます。 気持ちがついていけないだけで・・・。カイガラムシは、なぜあの赤い色素を持つのか。 身を守るためなのか、外敵への警告なのか。 そこまで知ったら、少しは彼らへの気持ちが変わるのでしょうか。
ピンクのマカロンをちくちく刺しながら、 カイガラムシについてとりとめもない想い。
No War Please
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